ノウハウの蓄積を次のプロジェクトに活用する
BIMで作業を行ううちにある程度自社のノウハウが溜まってきたりファミリが溜まってきたりすると思います。
せっかく作った作業ビューの設定や集計表の設定、次のプロジェクトにそのまま使いたい。
そんなときは、業務が終わったプロジェクトをテンプレートとして保存します。次のプロジェクトを始めるときはそのテンプレートから作業を始めると各種設定を位置から手動で設定せずに済みますので楽です。
やり方は簡単です。
テンプレートにしたいファイルを開き、不要な情報を削除します。
[ファイルタブ]>[名前を付けて保存]>[テンプレート]を選択し、保存するだけです。
それだけで新しいテンプレートが作成されます。
そうしたら次のファイルを新規作成するときに、テンプレートファイルの参照ボタンをクリックして作成しておいたテンプレートを開き、プロジェクトを始めます。
とても簡単です。
し か し
Revitの特徴か世の常か、簡単に思えることは大体落とし穴が付属しています。
今回の方法は、
プロジェクトのバグも蓄積される。
必要な情報も削除されていたり更新されていることもある。
不要なゴミ情報も蓄積される。
元請から受託したテンプレートとの乖離が広がる。
既存の建物に無計画に増築をくりかえすような状態になってしまいます。
増築方法でテンプレートを成長させるのはやめましょう。
けど、手動で自社ノウハウを受領したテンプレートに付随させるのもまた面倒です。
ですので、テンプレートに同調させるためのプロジェクトを作っておいて
そこで自社ノウハウを蓄積させておくのが便利です。
新規でプロジェクトを作成するときはそこからファミリを取り出したり[管理タブ]>[プロジェクト標準を転送]を使ったり[挿入タブ]>[ファイル挿入]を使って自社のノウハウを利用できるようにしておくと便利です。
まとめ
1、テンプレートを有料で販売しているのはそれだけテンプレートの管理が難しいからです。
2、落とし穴は見えないことが多いですが落ちるとリカバリの労力がかかります。
3、建築は見えないけど土台や躯体が一番大事なように、Revitも見えない基礎が大事です。
10月13・14日(水・木)Autodesk University(Autodesk商品の紹介イベント) 今年もWebで無料です
上記のリンクから登録します
登録後、
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[ウェルカムメッセージと日本語の注目コンテンツ]をクリックします
次の画面で左側に表示される「日本語クラス全セッションを見る」をクリックします
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面白そうだと感じた公演があったら題名の右上の四角をクリックします。
もしくは公演をクリックして「スケジュールに追加」のボタンをクリックします
同じ場所をもう一度クリックするとスケジュールから外すことができます
いろんな公演があります。動画で見るだけですので軽い気持ちで参加してみてはいかがでしょうか?
まとめ
1、一つの時間帯で1つの講演の登録ができます。
2、Webイベントなので面白くなければ途中退出が簡単です
3、動画の保存もできます。後でのんびり消化するものありだと思います。
円のアタッチがずれた時
円の押し出し等を作成する時、通常参照線の交点を参照に円を描くと自動的に円の中心がアタッチされます。
しかし、それが時々ずれることがあります
そんなときは円のスケッチを選択して、[インスタンスプロパティ]>[グラフィック][中心マークを表示]のチェックを入れます
そこで表示された中心マークをアタッチすることで円の位置を参照線に固定することができるようになります
多角形はできないので辺1本1本を参照線にアタッチする必要があります
例えば1辺をLとする6角形のアタッチは以下のようになります
式の参照を一次までにすることで辺の長さからでも辺-辺の距離からでも頂点-頂点の距離からでも指定できるようになっています
まとめ
1,多角形の角度まで操作したいときはネストするとよいです
2,ネストするとボイドが効かないのでネストも万能ではありません
3,ネストしたくない時は参照線を駆使して作成しますが、参照線は0~90°の範囲を超えるとうまくいかないことがあります
ISO196500を自習ツール
BIMデータの規格 ISO19650に関する軽いまとめ
ISO規格とはそもそも何か?
国際標準化機構(ISO)という組織がまとめた民間の国際規格
JISみたいに製品そのものの規格もあれば、商品を作る際の環境への配慮の仕方、
労働安全のルールなども定めている
ISO19650とは?
BIMデータを製品として製品の規格を定めたもの
BIMデータを建物のデジタルツイン(建物の情報を集めたデータサーバ)として建物の設計から解体に渡って使える資料とするためのルール
1~6の6に分かれていて
それぞれ、
ISO 19650-1 基礎となる作成ルール・テンプレート
ISO 19650-2 BIMデータのモデリングのルール
ISO 19650-3 営繕にかかるBIMデータの更新や活用
ISO 19650-4 データ変換のルール
ISO 19650-5 BIMデータのセキュリティルール
ISO 19650-6 労働環境
となっているようです。
ISO - International Organization for Standardization
公式サイト
日本ではまだ認証機関が英国規格協会の日本法人のBSIしかないようです
国土交通省のLODやRevitUserGroupやISOや
BIMは比較的新しい技術なのでルールが統一されるまでまだしばらくかかりそうです
まとめ
1,ISOも時代で変わっていくものもあります
2,強制ではありませんがルールは統一されていた方が協同しやすいので準拠しておいた方が良いかも。
3,詳しくはISOの公式サイトでPDFを販売しています。ただし仏語と英語のみです
修正:19650-2はモデル作成ルール
共有ファミリで何ができるのか(集計・図面化)
例えばペン立てのテンプレートファミリがあります。
これをスチレンボードで模型を作る要領で作成するとします。
現状では全体をソリッドで作成しています。
そうすると各部材を細かく寸法を打ち、また製作者によって部材の取り方も変わったりします。
これを最初から共有ファミリとして部材を組み込んでおくと便利になります。
形状が共有ファミリで作成されているとどのように便利なのか?
共有ファミリを作成し、親ファミリにネストします
組み立ててプロジェクトにロードします
そうすると寸法を打たなくても各部材のサイズが自動的に表示されます
サイズを修正すると自動で追従します
共有ファミリなので部材ごとにタグを打つこともできます
部材ごとの詳細な図面を作成したいときは部材のみを表示させて寸法を打ちます
設計業務にはあまり効率化につながらない機能かもしれませんが
造作家具の製作側と設計側がコミュニケーションを図ったり
建築に関わる製作に有用な機能かもしれません
まとめ
1.共有ファミリのタイプパラメータは親ファミリのパラメータに関連付けることができません
2.共有ファミリのタイプパラメータは[グローバルパラメータ]に関連付けられます
3.製作は他のソフトの方が使い勝手が良いですが、Revitで製作と設計が変換レスで繋がれることに意味があります
パラメータを付けることが難しい形状
この3つのオブジェクトはすべて同じファミリのパラメータを変更したものです
三角形の板押出しの角にRを付けた上で周囲を直径Hのスイープで巻いています
普通に作成できると思いきや、普通に作成するとできません
ではどうやったら成功するのかを説明していきます
まず、正三角形の角にRを付ける方法ですが、
普通三角形の斜線の部分に参照線を引き、参照線にアタッチさせたソリッドラインを
作成します。四角形と同じように角にフィレットをかけてRをパラメータにアタッチさせますが、3角形の場合はこれでは崩壊します。
Rの径を変更すると下のようにRと直線の接合部が滑らかに接合しなくなります。
これは直線の端部及び円の中心の位置が指定されていないためです
人間なら何も言わなくても指示の意図を汲んでくれますがRevitは空気読まない人です
明確に端部を指示しないとよくわからないことをやってしまうものなのです
反省してRevitに改めて指示を出します
今度はRの中心と線の端部を明確にRevitに示し、それぞれ必ず別々に参照線・参照面にアタッチします
これでRの大きさとソリッドの大きさに対してパラメータを付けることができます
では次に周囲を取り巻く部分を作成します
スイープの作成で パスをスケッチ ロックを指示していることを確認し、
作成したソリッドにアタッチさせてパスを作成—させると失敗します
サイズを変えると拘束が外れて変なことになります
参照線・参照面に直接アタッチせずに参照面等にアタッチしたソリッドを使って間接的にアタッチさせるとこういうことが良く起こります
正しくは面倒でもソリッドの形状を作った時のようにパスも参照線・参照面に直接アタッチさせます。
これで大きさとRにパラメータを付けた形状が完成です
まとめ
1.近道に見えるものは大体罠です
2.近道があったらRevitを一番よく知っている開発者が正規ルートとして紹介しているはず
3.基本を学ばずに応用だけ身につけると大体ひどい目にあいます。